「個人事業主が2年連続で期限後申告をすると、青色申告の承認が取り消される」と言われますが、これは間違いです。取り消されるのは法人の場合であり、個人はよほど悪質な行為がなければ取り消されることはありません。
法人と個人では青色申告取消の基準が異なる
2年連続で申告が遅れると取消になるというのは法人・会社の話です。これに引きずられるようにして、みんな個人も同様に取消になると思い込んでいます。私自身もそう思っていました(^^;
法人の青色申告取消については、法人税法127条で定められています。
- 帳簿がきちんと作成、保存されていないとき
- 税務署長の指示に従わないとき
- 隠蔽や仮装などの悪質な行為があったとき
- 申告書を期限までに提出しなかったとき
一方、個人の取消は所得税法150条で定められています。見比べると分かりますが、「4」の提出期限については所得税法では規定がありません。
- 帳簿がきちんと作成、保存されていないとき
- 税務署長の指示に従わないとき
- 隠蔽や仮装などの悪質な行為があったとき
個人の取消については、以下のページも参照してください。法律に基づいて実際に現場でどう運用するかを定めた文書ですが、その中で「青色申告の承認の取消しは、青色申告制度の趣旨から真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められる場合に行うものである」と述べられています。
どういう場合が取消に該当するかと言えば、よほど悪質なときに限って取消を行うという方針です。
- 二重帳簿を作成する
- 過少申告を毎年継続して行っている
青色申告が取り消されるとどうなるのか
実際に青色申告の承認を取り消された会社の代表者から、どのように取り消されたのかを聞きました。
- 税務署から電話がかかってくる。申告書が提出されていないので承認を取り消すと告げられる。
- 簡易書留で税務署から通知が送られてくる。通知には取消の日付や理由が記載されている。
法律の上でも、取消の処分をするときは書面によって通知をするように定められています。だから、証拠が残るように書留郵便で通知が送られるのでしょう。
つまり、個人でずっと申告をしていない場合でも、取消の通知を受け取っていなければ、青色申告は有効だと考えられます。後から申告するときでも、青色申告特別控除10万円の適用を受けられます(期限後では55/65万円の適用は受けられない)。
もし取消を食らってしまえば(=取り消しの通知を受け取ったら)、青色申告の各種特典を受けられなくなります。再度、承認申請を行おうとしても、取り消し処分を受けてから1年間は承認申請書を出せません。取り消しを受けた年はもちろん、その次の年も白色申告になってしまうため、最低でも2年間は青色申告の特典を利用できません。まあ、個人で取消を食らうことはほとんどないでしょうが気を付けましょう。
コメント