フリーランスが知っておきたい「住民税」の基礎知識

基礎知識

6月になると自治体(市役所や区役所など)から住民税の通知と納付書が送られてきます。今回は、住民税の基本について解説していきます。

住民税ってそもそも何?

所得税は国に対して納める税金ですが、住民税は地方自治体(都道府県や市区町村)に対して納める税金です。主に自治体の住民サービスをまかなうために使われます。

ちなみに、住民税とは通称であり、正確には「道府県民税」「都民税」「市町村税」「特別区民税」という名前です。

住民税の申告は不要なのか?

確定申告をした場合は、税務署から自治体に申告の情報が送られます。その情報をもとに自治体が住民税の計算をして、通知書と納付書を皆さんのもとに郵送します。そのため、住民税を別に申告する必要はありません

ただし、株式取引で利益が出た場合など、住民税の申告を行うことによって節税できることがあります。

会社で年末調整を受けていないで、かつ確定申告も行っていない人は、所得の情報が自治体に渡りません。そのため、住民税の申告書が送られてくるので、そこに必要事項を書き込んで返送しましょう。

会社員のとき、住民税なんて払ってた?

給料から住民税が天引きされていたはずです。まだ給与明細が残っているなら確認してみてください。住民税に関する手続はすべて会社がやってくれているため、自分では何もしなくても住民税は勝手に給料から引かれて、自治体の納付されています。

会社をやめて、そのまま再就職していない人の場合、確定申告をすることで給与から天引きされていた所得税が戻ってきたり、翌年の住民税が安くなることがあります。

住民税の支払を忘れそうで恐い

住民税は年4回にわけて支払います(6月末、8月末、10月末、1月末)。納付書は銀行や郵便局など近くの金融機関で使えます。

期限に遅れて支払うと、延滞金が発生することがあるので注意してください。「期限に遅れたけど延滞金なんて払わなかったよ」という人がいたら、それは金額が少なかったからだと思います。延滞金が1000円未満だと切り捨てになるためです。

期限に遅れないようにするには、口座振替で納税するように手続したり、金額が少ないなら1年分をまとめて支払うことをおすすめします。

最近はクレジットカードやLINE Payで支払える自治体が増えています。しかし、ポイントが付くのが魅力ですが、手数料がかかることもあるので注意してください。

7月になっても住民税の通知書が来ないけど?

所得税の申告が赤字であるか、課税所得が少なくありませんか? 所得が一定金額以下であれば、住民税が非課税(税額ゼロ)になります。税額ゼロのときは通知書や納付書は送られてきません

所得が大きいのに通知書が来ないなら、郵便事故の可能性があるので、自治体(市役所や区役所など)に問い合わせてください。もしマイナンバーカードを持っているなら、マイナポータルで住民税の情報を確認することもできます。

所得税より住民税の方が高くてビックリ!

住民税の税率は一律10%、ここに均等割(一人5,000円)が加わります(一部自治体は税率や均等割の金額が少しだけ違う)。所得税の最低税率は5%であり、均等割が存在しないため、課税所得が少ない人は住民税の税額の方が高くなります。

住民税の計算方法については、こちらのページをご覧下さい。

確定申告では還付になったのに、なぜ住民税を支払うの?

ライターやイラストレーター、スポーツインストラクターなど、報酬から税金が源泉徴収されている場合、確定申告することによって、税金が戻ってくることがあります。

ここで押さえておきたいのが、報酬から源泉徴収されているのは「所得税」であるところです。この源泉徴収は税金の先払いです。確定申告することによって支払うべき所得税の金額を算出するのですが、源泉徴収で先払いした金額の方が支払うべき所得税よりも多ければ、払いすぎた分が還付されます。還付というのはあくまで所得税の話です。

一方、住民税は報酬から源泉徴収されません。3月締め切りの確定申告で計算した課税所得をもとにして、6月に住民税の金額が出てくるので、6月以降にその金額を丸ごと支払う必要があるのです。

住民税だけでなく、国民健康保険の保険料も同じタイミングで金額が決まり、納付書が送られてきます。確定申告で還付になったとしても、予定外のおこづかいだと考えるのでなく、住民税や国民健康保険料の支払いのためにとっておきましょう。

2020年分の稼ぎに対する「所得税」は、翌2021年3月15日締切の確定申告で支払額が確定し、3月15日までに支払います(源泉徴収されていた場合、還付になることがあります)。

一方、2020年分の稼ぎに対する「住民税」は、所得税の確定申告書を元に自治体が計算します。支払額が確定するのは2021年6月であり、2021年6月から2022年1月まで4回に分けて支払います。

このように、今年の稼ぎに対応する住民税は来年から再来年にかけて支払うことになります。このため、高額年俸のプロスポーツ選手が引退後に税金の支払いで苦しむという悲劇が発生するわけです。

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